薪ストーブプランニング

①設置場所のプランニング
薪ストーブは本体のすべての面から熱を発するため、家の中心に設置するのが最も効率が良く理想的ですが、設置場所が限られている、部屋が細かく分かれているなどの住宅事情から壁面に沿って設置することも多くあります。設置する場所によって温まり方も変わるため、じっくり考えましょう。


部屋の中央に設置
薪ストーブはすべての面から輻射するため、理想的な設置場所です。

壁に添って設置
中央に設置する場合に比べ、暖房効率は若干減少します。

コーナーに設置
日本で多く見かけるケースです。部屋のどこからでも火を楽しめて、適度に暖気が広がります。


吹き抜けに設置
吹き抜け部分に設置する場合は、天井にシーリングファンなどを設けることで1階部分へも効率よく暖気が回ります。
吹き抜けを避けて設置
吹き抜けを避けて設置すると、暖気の上昇が穏やかになるので、効率よく部屋全体を暖めることが出来ます。
暖房面積の注意点
メーカーごとに提示している最大暖房面積は、薪ストーブに最適な環境を整えたうえで測定された最大の数値であるため、それがお客さまの住宅環境に当てはまるとは限りません。目安として最大暖房面積の7~8割を暖めたい部屋の総面積と考えましょう。そのほか、吹き抜けの有無・標高・寒冷地であるかなど、さまざまな点を考慮する必要があります。
熱の伝わり方
住宅の間取りや薪ストーブの設置場所によって温まり方が違うため、効率よく部屋を温められる場所に設置しましょう。暖気は上昇する性質を持っているため、吹き抜けに設置する場合はシーリングファンなどを利用して空気を循環させることでより効率的に暖めることができます。

②煙突のプランニング

薪ストーブは煙突のプランニングが一番重要です。きちんとしたプランニングをしないと、ドラフト(煙突内の上昇気流)が弱まってしまい薪ストーブ本来の力が発揮できず、着火に時間を要したり、煙が逆流することがあります、煙突の立ち上げ方法には、屋根抜き、壁出しの2種類があります。本来、煙突はドラフトの流れを阻害しないよ曲がりが無く真っ直ぐ立ち上げるのが理想のため、新築の住宅に設置する際は屋根抜きが多く、リフォームの際は屋根抜き貫通施工よりもコストを抑えられるため、壁出しが多い傾向があります。煙は煙突を通っていく間に徐々に温度が下がって煤やタールに変化していくため、なるべく煙の温度を高温で維持した状態で排出することがポイントです。

  • 屋根抜き
    垂直に排気が上昇するため燃えやすく、ドラフトも充分確保できるため理想的な形状といえます。
    ・煙突と可燃壁の離隔15cm以上(二重断熱煙突の場合)
    ・屋根上の立ち上がり90cm以上
    ・ストーブ本体と壁の離隔は機種により異なります。
    ◆角トップ   煙突の囲いを造作し、角型のトップを付ける。
    ◆チムニー   煙突の囲いを造作し、煙突を露出させる、煙突の高さを出す場合に有効
    ◆フラッシング 浸水防止のフラッシングを設置し、煙突を露出させる。
    ◆壁出し 住宅事情により煙突を垂直に立ち上げられない場合は、1階壁面より煙突を立ち上げます。
    ・野外での立ち上がり4m以上
    ・屋根上の立ち上がり60cm以上
    ・煙突の横引き1m以内
    ・ストーブ本体と壁の離隔は機種により異なります。二重断熱煙突の重要性
    二重断熱煙突を使うことで安全に効率よく排煙します。外気温による影響を受けないため、煙突内のドラフトが維持され、内筒に煤やタールの付着が少なくなります。
    責任施工の重要性
    薪ストーブは責任施工が基本です。設置に関わるプランニングはもちろん、取り扱い説明や使い方の指導も行います。不具合の相談やアフターメンテナンスも含め、施工代理店と末永いお付き合いになることを念頭にいれましょう。③負圧による煙の逆流

    薪ストーブは燃焼用の空気を室内から得ています。ストーブ使用中に換気扇等を使用すると、室内から排気量が給気量を一時的に上回り、室内の気圧が野外より低くなる負圧という現象が起きることがあります。空気は気圧の高い方から低い方へ移動する性質を持っているため、負圧が起きると煙突が一時的に給気口の役割を果たし、煙突内の煙が逆流します。逆流するとストーブの火室内が曇ったり扉の隙間から煙が室内に入ってくることがあります。負圧は気圧の逆転が原因なので、ストーブ付近の窓を開け、室内に空気を取り入れればすぐに逆流は収まります。窓を開けても収まらない場合は負圧以外のことが原因となっている可能性が高いので、煙突等が詰まっていないか確認する必要があります。負圧は住宅や製品の欠陥等ではなく、自然現象として起きてしまうものなので、どのような住宅であっても起こる可能性があります。
    高気密住宅と外気導入


    高気密住宅に薪ストーブを設置する場合、一般的に普及している第三種換気(自然吸気&強制排気)の場合、高気密住宅は一般住宅に比べ自然吸気の力が弱く、負圧になりやすい傾向があります。そのため、薪ストーブには燃焼用の空気をストーブ本体の給気口からダクトを用いて直接野外より取り入れる外気導入という仕組みを取り入れることが近年では特に増えてきています。しかし、外気導入を取り入れても必ず負圧がなくなるわけではありません。高気密住宅では負圧による煙の逆流が頻繁に起きることが容易に考えられますので、その頻度を下げることを目的としています。また、暖かい室内の空気を使用する場合と違い、外気導入は野外の冷たい空気を燃焼に使用しますので、熱効率が若干下がることが考えられます。そのため、外気導入は高気密住宅の際にご提案・導入することがほとんどで、一般住宅の場合はむしろ室内吸気の方が良い場合もあります。尚、第一種換気(強制吸気&強制換気)の場合は、比較的換気量が多く見込めるため、負圧は起こりにくいとされています。
    ④サイズ選びのコツ

    地球上でもっともクリーンな触媒機搭載薪ストーブCape Cod (ケープコッド)

ネオモダンな鋼板製ストーブNeo(ネオ)1.6
大は小を兼ねるとよくいいますが、薪ストーブはそれが当てはまるとは限りません。住宅に対して大き過ぎる薪ストーブを導入すると、すぐに部屋が暑くなり過ぎてしまいます。また、暑過ぎるからと火力を抑えると本体が冷めてしまい、適温が保てなくなりがちです。薪ストーブは暖めたい部屋の総面積で導入できる機種が限定されると考えましょう。しかし、例外として触媒を使った薪ストーブのように、低温でも煙の再燃焼を促し、通常は弱火で、いざというときは強火で炊くことのできる機種もあります。

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